
「SDGsってよく聞くようになったけど、よくわからない。学校や会社で恥ずかしくないように概要をざっくり知っておきたい。」というお悩みを解決するぞ。
今回は目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の解説!
SDGsとは、人間のため・地球のため・繁栄のための開発目標。
「誰ひとり取り残さない」を理念に、17の目標を掲げています。
SDGsって?そもそも社会問題ってなんなの?という人はまず「【SDGs】世界にはどんな問題があるのか【目標1,7,14,16,17についてわかりやすく解説】」の記事からどうぞ。
SDGs 目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう とは

1.1 【SDGs】目標9のポイントは4つ!
- 持続可能なインフラを整備、普及させる
- 資源利用効率化とクリーン技術により持続可能な産業化を進める
- 小規模製造業などが金融サービスにアクセスできるようにする
- 各国の科学技術向上のために、研究者数と研究開発費の増加とイノベーションを促進させる
目標9のターゲットには、インフラの整備が大きな課題とされています。
交通網から公共施設まで、わたしたちの暮らしはインフラが必須。
インフラが整備されていない国や地域では経済発展がしづらくなってしまう可能性があります。
例えば水道が整備されておらず遠くまで水汲みが必要な地域に住んでいる人々は、本来他の仕事に使えたであろう時間を水汲みに費やさなければいけなくなります。
インフラの整備が十分でないと、公衆衛生だけでなく企業の生産性などさまざまな悪影響が懸念されます。
アフリカ諸国などでは企業の生産性の40%がインフラの未整備のため損なわれているというデータもあります。
次に省エネ促進と産業化を同時に進めていく重要性についてです。
製造工程で発生するCO2排出量を減少させ持続可能な経済活動を続けるためには、イノベーションによる技術革新が不可欠となります。
また技術革新を進めることは製造業の1人あたりGDPの増加へつながり、技術革新による産業化の促進は雇用増加にもつながります。
詳しいターゲット内容

(出典:農林水産省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット」)
(出典:シンク・ジ・アース「SDGs for School | 17の目標を知ろう」)
(出典:国連広報センター「目標 9 レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」)
産業と技術革新 世界の現状・課題

世界では生活に必要な基本的インフラが整備されていない国や地域があり、普及が急がれています。
SDGsに掲げられている目標を2030年までに達成するには、開発途上国の産業化のペースはまだまだ遅く、スピードアップが必要です。
- 23億人がトイレなど基本的な衛生設備を利用できない(2019)
- 8億人は安全な水を利用できない(2019)
- 12億人程度が信頼できる電話サービスを利用できない(2019)
- 3G以上のネット環境があるにも関わらず、金銭面の理由などから90%の人々は利用できない(2018)
- 後発開発途上国でインターネットを利用できる人は5人に1人未満(2019)
健康で文化的な生活を送るためには衣食住のインフラの整備が必須です。しかし、上記に挙げた環境にある人々はそれらがままならない状況にあります。
またインターネットにアクセスできる人とそれ以外の人々との間には情報格差が生じており、SDGsで掲げられている「誰ひとり取り残さない」という理念を達成するためにも、情報格差を小さくしていく必要があります。
2016年の時点ではインターネットの世界普及率は47%となっており、最も普及率が低いアフリカでは25%。アフリカの場合1/4の人のみがインターネットにアクセスできる状況です。
しかし、携帯電話の普及率は8割と先進国との差は小さくなってきています。
開発途上国では主にスマートフォンを通して徐々にインターネットにアクセスが可能な環境が整ってきています。
(出典:gooddo「持続可能な開発目標・SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」のターゲットや現状は?」)
(出典:国連広報センター「SDGs報告2019」)
(出典:国連広報センター「SDGs報告2020」)
(出典:国連広報センター「産業と技術革新の基盤をつくることはなぜ大切か」)
(出典:総務省「世界におけるICTインフラの広がりとインフラ輸出の現状」)
【SDGs 目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう】日本・世界の取り組み
日本の取り組み

日本は元々地震大国ですが、近年は温暖化の影響による豪雨や台風の被害も多発しており、防災対策を強化したインフラの重要性がより高まっています。
非常時は道路が寸断されてしまい、食料などの救援物資が入手しずらい状況になることも想定されます。
伊藤園では自動販売機を活用した社会貢献の一環として「災害対応自動販売機」を設置し、防災強化に貢献しています。
普通の自動販売機と異なるポイントは、災害時に停電が発生した場合に手回し式の自家発電機を備えており、無料で商品を取り出せる仕様になっていること。

災害地域の近くに「災害対応自動販売機」があれば、とても頼りになりそうですね!
世界の取り組み

海外事例からは、デンマークのコペンハーゲン市が行う防災都市計画を紹介します。
計画のはじまりは2010年から2011年にかけて起こった気候変動による3度の豪雨でした。
気候変動に強い持続可能な都市をつくるため、コペンハーゲン市では「ブルー・グリーンインフラ計画」を立案。
雨水から都市を守るため道路や公園を利用したブルー・グリーンインフラを既存の地下排水と組み合わせ、体系的に配置し、地域全体で洪水リスクを低下させることができます。
SDGsの目標を達成し、人々の暮らしや産業を守るためには、個人レベルの環境への配慮と政府や自治体の防災計画が必要になってくるでしょう。
(出典:伊藤園「自動販売機を活用した社会貢献 | コミュニティへの参画及びコミュニティの発展 | CSR(社会・環境)」)
(出典:国土交通省「海外事例と我が国での グリーンインフラの取組」)
【INDUSTRIES, INNOVATION AND INFRASTRUCTURE】世界中で持続可能な産業や技術革新が促進され、インフラが開発されたら

もし世界中の人がインターネットを利用できるようになれば世界の約半数、特に後発開発途上国の80%のインターネット環境にアクセスできなかった状況が改善されます。
もし世界中で農業や衣服産業、デジタル機器などのイノベーション促進が行われ産業化が達成されれば、製品にオリジナルの技術や製法でプラスの付加価値をつけることができます。
もし世界中で公共施設、ガス・水道、道路・線路、電話・電気などの基礎的なインフラ環境が整えば、医療や教育などさまざまな水準が向上しやすくなります。
これらは、持続可能な経済成長へとつながり、さらに多くの人が幸せな世界になるでしょう。
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