私が高校生の頃から出会って9年、付き合って8年の時間を一緒に過ごした人が2021年9月22日の朝、一緒に住んでいた家で倒れて亡くなっていました。
それから9ヶ月が経ちました。自分の気持ちの整理のためと、彼を思う自分の気持ちを今書き留めておきたいという理由でここに記録しておきます。
9ヶ月前「彼が死んでしまった」という事実だけを突きつけられ、全く意味がわからず、混乱と後悔とぐちゃぐちゃな感情がただずっと自分の中を蠢きながらずっしりと横たわっていました。
どう生きていけばいいのかわからず、状況が理解できず、あの人が隣にいないことに違和感しかなく、ただ絶望して涙が勝手に流れていくだけの日々を数ヶ月過ごしていました。
亡くなる3日前の9月19日にお酒を飲んで帰ってきた彼は少し具合が悪いと言って早めに寝ていました。
9月20日も体調が悪いと言っていたので、病院にかかることを勧めましたが、病院嫌いの彼は「どうしようかな」という感じで、私も強く勧めず、結局行きませんでした。
9月21日には出かける用事がありましたが、彼は熱とだるさがあり、具合が悪化していました。さすがに病院に行ったほうがいいと思い電話しましたが、世はコロナが流行っていて発熱した人がすぐに病院を見つけるのは難しく、予約は次の日になってしまいました。
彼の具合も少し風邪をこじらせたような感じで、そこまで重症ではなかったため、午後から私ひとりで外出しました。
夕方ごろ用事を済ませ彼に連絡すると、夕飯を頼まれ(と言っても具合が悪かったのでゼリーとヨーグルトがいいとのことでしたが)、私が「少し遅くなるからコンビニにウーバーイーツを頼んだ方が早いよ」とLINEすると「玄関まで行くのもしんどいから待ってるよ」と返信があり、ここでやっと私は「これはやばいかもしれない」と思いました。
実は私は以前コロナに罹ったことがあり、その時の状況と似ていたので、この時点では彼のコロナ感染を疑っていました。
18:00ごろ帰宅すると、汗ビッチョリでベッドに寝ている彼がいました。私が出かけている間に病状が悪化しているのがよくわかりました。
足取りもおぼつかず、7回吐いたと言っていて、かなり限界のようでした。
そこで彼の方から救急車を呼んでほしいと要望があったので、救急車を呼びました。
救急車は幸いすぐにきて、ストレッチャーで車内まで運ばれました。
私が疑っていたように、救急隊員の方もコロナを疑っていたようで、肺機能の数値や酸素濃度などを調べていましたが、異常はありませんでした。
その時、救急救命士の方にこう言われました。
「今はこのご時世(コロナ禍)だからこの地域も病床が足りてない。時間も遅いし、今から病院を探して、仮に見つかっても2~3時間診察してもらえるまでに待たなきゃいけないかもしれない。そうすると、今の病状からさらに悪化する可能性もある。明日病院が予約できているなら、そっちに行ったほうが身体も楽かもしれない。もちろんどうするか決めるのはご本人だけど、どうする?」
この時の異常は、40度近い発熱と嘔吐、それと手足の冷えでした。
彼も私も悩みましたが、確かにこの彼の状態で病院で待たされるのはきついだろうと思い、彼も同じだったようで家で耐えることにしました。
家では買ってきたゼリー飲料を少しだけ飲み、少しでも熱を冷まそうと応急処置でロキソニンを飲みました。
寝付く頃には本人は「だいぶ楽になってきた」と言っていました。しかし、ずいぶん手足の冷えがひどくなっていることに妙な違和感を覚えたのを今でも忘れられません。
なんでこんなに冷えているのかわからず、体温計で計ったら34.8度で、でも本人はさっきより辛そうじゃないし、救急車では40度と言われた時に同じ体温計で38度で2度も差があったし、ふたりで「(体温計が)壊れてるのかな?」と笑っていられるくらい、彼の体調はそこまで悪そうにみえず、結局そのまま就寝しました。
私は自分も倒れたら大変だと思い、別室で寝ようと思いましたが、彼がこちらを見ているので「一緒に寝たいの?」と聞くと頷いて、具合が悪い上に一人で寝るのは寂しいんだと思って、うつってもいいと思って一緒に寝ました。これが最後に一緒に寝る日になるとは微塵も思いませんでした。
寝る前に「俺が倒れたら救急車呼んでね」と少し冗談めかして言われ、「うん」と返事をしました。そして「おやすみ」と。
次の日起きると、彼は隣にいませんでした。
寝室を出て、リビングを探し、廊下を歩き、トイレのドアを開けると、トイレの床に座って壁にもたれかかっていました。
昨日から吐いていたから、また吐いているのかと思い肩をゆすると、反応しない。それに、重い。顔をこっちに向けると、息をしてない。
でも、私の頭に「死」なんてなくて、必死で救急車を呼んで、人工呼吸と心臓マッサージをしました。
病院で蘇生されている最中も、「彼が死ぬ」なんて本当に思ってなくて、絶対に助かると信じていました。
身体が不自由になってしまうかもしれないから、どうやったら介護しながら一緒に仕事できるかとか、とにかく命が助かることしかイメージできませんでした。
でも、医者は、私に彼の死を告げました。
死んだ人と生きていくということ2 へ続く
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