死んだ人と生きていくということ 5 最終回

記録 もみえりについて

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これを書いているのは2022年8月。あと1ヶ月で彼の1回忌があります。

今でも、ふとした瞬間に彼と過ごした時間を思い出しては涙が止まらなくなります。

でも、彼が死んだ直後から比べたら、だいぶ変わりました。

直後は、何も受け入れられないまま、葬式、四十九日と過ぎていき、彼ののこした仕事をすることだけが生きている実感で、なぜ生きなきゃいけないのかずっと考えながら、別にいつでも死んでいいと思いながら、ずっと千葉の実家に引きこもっていました。

1月、彼の死から4ヶ月経って、中学の友人と高尾山に登りました。

この時は、登山したりバイク買ったり、もしかしたら死ねるかもしれないことをしたがっていました。(登ったことある人はわかると思いますが、高尾山があんなに整備されてるなんて知らなかった…笑)

でもこの登山で、友人と喋りながら山を登って、「あ、意外と私普通に人に会って喋ってるじゃん」と気づきました。

それまではどうしても話してる途中に泣いちゃうし、そもそも人に会いたくなかった。

自分でも気づかないうちに、時間が少しずつ心を立て直してくれてた。

そう気づいてからは、彼が死んでから私のことを心配してくれてた友達にありがとうを言う会(自分で勝手にそう定義してた)を開いて、どんどん人と会うようになっていきました。

彼の死があって私の中で大きく変わったことが2つあります。

・恩を強く感じるようになった。恩のある人には感謝を伝え、誠実に生きようと思うようになった。

・いつ死んでもいいと思ってるからこそ、自分がやりたいことは今すぐやるようになった。

恩を強く感じるようになったのは、いろいろな人が本気で私や私のやってる仕事に向き合って支えてくれたからです。

彼が亡くなって、もう本当にどうしようもない時、実家に帰らせてくれて、何も言わずに一緒にいてくれたのは母でした。

学生時代の友人は、私が回復するのをゆっくり待ってくれて、寄り添ってくれました。

彼の会社を引き継いだ私が一人でさばききれなかった事業を引き継いでくださった方もいました。

彼が入っていたコミュニティに快く迎えてくださり、勉強させていただくこともありました。

そのほかにも、今まで生きてきた中で関わってきたたくさんの人に励まされ、本当に元気になりました。ありがとうございました。

人に支えられて生きていることを実感させてくれたこの人たちは、私が生きている間は長く付き合っていきたい人たちなので、何か特別なことをするわけでは無いですが、ひとつひとつ誠実に接していきたいと思っています。

もうひとつ、「いつ死んでもいいと思ってるからこそ、自分がやりたいことは今すぐやるようになった」ことについてです。

これが思えるようになったのは、「今死にたい」が薄れていって、ああ、今は死ねないし、ほんとに死のうとも思えないし、今生きていることが辛いということの言い換えで死にたいって言ってるだけだと気づいた時でした。

でも、自分がいつ死ぬかわからないし、いつでも別に死んでいいけど、だったら自分がやりたいと思ってたこと全部やっていこう、と思いました。

ちなみに、このブログで発信してるような社会問題への活動は、このブログを書いていた以前の私は(というか小学生からの20年弱の私にとっては)心から活動をしたいと思っていたのですが、今は心から社会問題に対する活動をしたいと思えなくなってしまいました。

これは感情の問題なので、言葉で説明するのは難しいのですが…

彼が死んで、自分の中のいろんなものがごっそり変わってしまったような、そんな感じです。

だから、自分が今やりたいことを素直に求め、まずは自分が楽しいとか幸せだと思えること、会社を大きくするとか、自分の美容にお金をかけてみたり、ダイエットしたり、服を買ったり、旅行をしたり、役者をやってみたり、ひとつずつ自分が好きなことをやることにしています。

あとは、前述したような自分を大切にしてくれている人をまずは大切にしていく方向に重点を置きたいと思うようになりました。

だから、これから数年後のこととかは本当にどうなるかわからないし、別に決めようとも思わないけど、「今」やりたいことを後回しにせず「今」やっていく、そんな生活を送っています。

彼は、なぜかわからないけど、実態としては今私の隣にはいなくて、死んじゃって、骨になっちゃったから、もうそれは、どうしようもない事実だから、彼と過ごした時間をもう一度と思っても、無理だから、いくら泣いても喚き散らしてもそれは変わらないから。

でも、私は彼の大切な人だし、彼は私の大切な人だということは私が死ぬまで私と彼の間にある事実だということも変わらないから。

そのことを背負って、彼のことも自分のことも大事にしながら、生きていこうと思います。

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