「SDGsってよく聞くようになったけど、よくわからない。学校や会社で恥ずかしくないように概要をざっくり知っておきたい。」というお悩みを解決するぞ。
今回は目標8「働きがいも経済成長も」の解説!
SDGsとは、人間のため・地球のため・繁栄のための開発目標。
「誰ひとり取り残さない」を理念に、17の目標を掲げています。
SDGsって?そもそも社会問題ってなんなの?という人はまず「【SDGs】世界にはどんな問題があるのか【目標1,7,14,16,17についてわかりやすく解説】」の記事からどうぞ。
SDGs 目標8 働きがいも経済成長も とは
【SDGs】目標8のポイントは3つ!
- 環境保護と経済成長を両立して実現させる
- 働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)の促進
- 人権に反した強制労働、人身売買、児童労働をなくす
「働くこと」について、身近なところでは過労死やブラック企業、正社員と非正規雇用の賃金や待遇の差の問題などを思い浮かべる人も多いでしょう。
世界では個人の権利を尊重しない強制的な労働、子どもに関する労働問題などがあり、それらが目標8の背景となっています。
また大量生産大量消費が地球温暖化へとつながり、生物多様性や海洋へプラスチックが流れ込む問題も起きています。
すべての人が働きがいのある仕事を通し、幸せな生活を手に入れること。
望まない強制労働に従事している人をゼロにすること。
経済成長をしながらも持続可能な形で生産・消費活動を行うサイクルをつくること。
一部の人間の都合のみで経済活動を行うのではなく、地球環境の保護や人権への配慮との両立を目標8「働きがいも経済成長も」では目指しているのです。
詳しいターゲット内容
働きがいや経済成長 世界の現状・課題
4.8%
この数字は2010年から2017年にかけての発展途上国におけるGDP成長率を表す数字です。
SDGs目標8のターゲットである、最低年7%の成長にはまだまだ遠い数字であることがわかります。
世界経済の成長は1人あたりGDP 成長率で2%(2010~2018年)から2019年1.5%へ減少していましたが、2020年には新型コロナウイルス感染症により、状況はより厳しいものになりました。
1930年代に起こった世界大恐慌以来の最悪の事態に見舞われています。
- 2016年時点、世界全体で1億5200万人もの子どもたちが労働をさせられており、内4000万人は奴隷のような環境にさらされています。
- 世界の失業率は5.6%(2017年)、失業した人の総数は1億9,200万人(2018年)
- 2030年までに毎年3000万件の雇用が新たに必要
- 1日1.9ドル未満(貧困ライン未満)で暮らす人々は、世界で22億人近くいます
近年児童労働は減少傾向にありましたが、コロナ渦で20年ぶりに増加し2020年は1億6000万人と発表されています。
影響が続いた場合更なる増加が見込まれるため、早急な対策が必要な状況にあるでしょう。
また世界の人口増加に合わせてただ雇用をつくるのではなく、7億8300万人が必要としている労働条件の改善や、性別による仕事への差別をなくすことも課題とされています。
(出典:国連 SDGs報告2019)
(出典:国連 SDGs報告2020)
(出典:国連広報センター「ディーセント・ワークと経済成長を両立させることはなぜ大切か」)
(出典:I LO 駐日事務所「SDGs達成のカギ、ディーセントワーク」)
(出典:日経ビジネス「世界の児童労働が20年ぶりに増加、コロナ禍で悪化も」)
【SDGs目標8働きがいも経済成長も】日本・世界の取り組み
日本の取り組み NPO法人こまちぷらす
国内の取り組みから、NPO法人こまちぷらすの事例をご紹介します。
こまちぷらすでは「子育てが『まちの力』で豊かになる社会」を目指し「孤立した子育てをなくし、それぞれの人の力が活きる機会をつくる」ことを掲げ活動をしています。
今回はこまちぷらすからプロジェクトを2つご紹介。
1つ目は社会参画×SDGsを掲げる「つながりデザイン」。
カフェ空間を利用し地域の担い手を育てる流れを作り出すことを目的としており、1杯のコーヒーを飲むことをきっかけに気軽に活動に参加してもらい、地域の担い手になってもらうことを目指しています。
活動の結果、30人程のチームで難病をテーマにした上映会を企画し、350人が参加しました。
上映会を通して社会課題を多くの人に周知し、まちづくりに対して主体的な意識をもった人を増やすことに成功したそうです。
2つ目にご紹介するプロジェクトは居場所×SDGsを掲げる「こまちカフェ」。
乳幼児期の子どもを持つ保護者向けに、心身の健康を大切にしリフレッシュや多様な人との対話の機会づくりを目的とした取り組みです。
カフェの運営とボランティアによる見守りおしゃべり会の開催により、子どもと保護者をサポートしています。
参加者はリフレッシュすることで自身のゆとりが生まれ、子どもと楽しく過ごすことができているそう。
こまちカフェに参加したことをきっかけにボランティアに参加する方も増えており、地域につながりの輪が広がっています。
(出典:特定非営利活動法人こまちぷらす「こまちプラス×SDGs」「こまちぷらすとは」)
世界の取り組み 国際NGOプラン・インターナショナル
海外の取り組みからは、国際NGOプラン・インターナショナルが行う若者への就労支援を見ていきましょう。
プラン・インターナショナルは1937年からの歴史を持ち、世界56ヶ国で活動する団体です。
子どもたちの権利を守るため、特に女の子や女性支援に力を入れています。
プラン・インターナショナルは「若者の生計向上」を目的に金融知識を得て経済力を持つプロジェクトを実施。具体的には以下3つの内容で活動しています。
- 小規模の貯蓄や貸付を行うグループの結成と運営支援
- 職業訓練や個人での起業支援
- 学校でのキャリア・金融教育の導入やライフスキル教育
中央アメリカに位置するホンジュラスにおいて、14歳から24歳の農村地域に居住する女の子に向け起業支援の他メンタル面のケアやコミュニケーション能力を高めるトレーニングなどを行いました。
ホンジュラスでは失業者の内24歳未満の若い世代の割合が半数を占めていて、特に女性の状況が悪く、緊急の雇用対策が必要とされていました。
中学校を卒業後仕事がなかったデニアさん(17歳)は支援を受け、
「プランによるトレーニングで会計管理などについて学んだおかげで、飲料水などを売る小さい雑貨店を始めることができました。この店でほかの女性も働けるようになれば、地域全体の雇用機会が生まれます。地域にとっても、良いことだと思います」
とコメントしています。
(出典: 国際NGOプラン・インターナショナル)
【DECENT WORK AND ECONOMIC GROWTH】世界中で労働環境が改善され、経済成長することができたら
もし、世界中で労働環境が改善され、経済成長することができたら……
世界の失業率5.6%に含まれていた人々は、安全で十分な収入の得られる条件・労働環境下の仕事に就くことができます。
すべての労働者のうち51%の非正規雇用の人々は、正規の雇用または同等の条件の仕事を得るでしょう。
男性の方が12.5%収入が多い状況は改善され、性別による男女の賃金差は過去のものとなります。
女性が男性より2.6倍多く担っている賃金の発生しない家事労働などは、男女で平等に行うものとなっているのです。
国連は目標8のターゲットである2025年までの児童労働撲滅に向けて、2021年を児童労働撤廃国際年と位置づけています。
特に先進国の企業やわたしたち市民が問題意識を高め、フェアトレード商品を選ぶ、強制労働が行われていないとわかっている企業の商品を選ぶなど、身近な消費行動を考え、変えていくことも目標達成へとつながる1歩へとつながるでしょう。
みんなが自分の仕事に誇りを持ち、いきいきと暮らせる社会の実現を願っています。
(出典:国連「Promote inclusive and sustainable economic growth, employment and decent work for all」)
コメント
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