こんにちは!
今日は「国際協力をしよう!」「世界の問題を解決しよう!」とはいうものの、そもそも問題がたくさんありすぎてよくわからない…
という人のために、高校で教壇に立ち政治経済を教えていたもみえりがその概要をお伝えします!
ちょっと張り切って14000字くらい書いちゃったので、読みたいところだけ読むのがおすすめ!笑
そもそも「社会問題」って何?
社会問題というけれども、どのようにして世界にある物事が「社会問題」として定義されるのか、根本から考えてみましょう(*^^*)!
まずは以下の文章を読んでみてください。
社会病理・社会問題現象は何らかの紛争や葛藤なので、関係性の修復や回復が課題となる。しかしことはそう単純ではない。「問題」とは何か、「解決」とは何かが難儀だからである。たとえば不登校が「問題」であり、再登校が「解決」だとは言い切れない。違法薬物使用は「問題」であり、それは法的な処分(処罰)へと至ることが「解決」だとは思えない。依存症という「問題」の定義も可能であり、そうすると処罰ではなく回復が「解決」となる。ひきこもりはいかなる意味で「問題」と定義でき、家を出ることが「解決」だとは必ずしもいえない。あるいはまた、「問題」をひっくり返されることがある。たとえば不登校の生徒が通うフリースクールで調査をしている本チームの院生がいる。どうして学校に行かなくなったのか(あるいは行けなくなったのか)を調べたいと思っていた。ところが逆に生徒に聞かれた。「お兄さんはどうして学校に行っていたのか(行くことができたのか)」と。調査の「問い」がはらむ前提が問われた。「不登校を問題視するあなたは誰か」と。調査者の立ち位置(ポジショナリティ)を問う「問い返し」である。
中村正(立命館大学人間科学研究所 産業社会学部教授)2014年12月 https://www.ritsumeihuman.com/essay/essay379/
この中村教授の言葉はとてもわかりやすいですね。
そもそも「社会問題」とはポジショントークであるということです。
私も通信制高校の教員という仕事柄、小学校・中学校に通うことが難しかった生徒と数え切れないくらい接してきました。そして、その子たちは「不登校」という「社会課題」の当事者としてみなされていました。
小学校から大学まで実に16年間学校に通っていた私が教員になって初めて「不登校」経験のある子と真剣に向き合い見えてきたものは、学校に通わないことそれ自体が重大な問題ではないということです。
例えば起立性調節障害(朝起きるのがとっても辛い病気)、例えばいじめ、そして意外に多いのが本人も周囲も学校に行けない理由がわからない子…
どの子も「学校に通わなかった子(通えなかった子)」です。
ただ、私が勤めていた通信制高校では学校に通っていなかったことの方が「普通」なので、みんなその事実に引け目を感じることなくいきいきと学校生活を送っていました。
また、自分のペースで学校生活を送ることができるので、ハードルを少しずつ上げながら「できた!」を増やしていくことができます。(必ずしも「学校に通うこと」だけがハードルの上げ方ではありませんし、正解はその子と向き合いながら考えます)
そして、卒業する頃には入学当初より自己肯定感が上がっている状態で次のステップに進むことができるのです。
ここから見えてくるものは、社会課題とは環境によって定義されるということです。
ある環境で「普通」とされていることから逸脱した時に、その「普通」に属している人間から見るとそれは「課題」として認識されるのです。
このことを認識しながら、相手の立場を尊重しつつ、さまざまな要因を考慮に入れ、ベターな選択をしていくことが大事だと思います(*^^*)
SDGs(持続可能な開発目標)
最近よく耳にするようになった人も多いのではないでしょうか?
世界の問題を考えていくには外せないところですので、今回は頭の整理をするためにもSDGsを通して社会課題を見ていきましょう!
SDGsとは、「サスティナブル(持続可能な)ディベロップメント(開発)ゴールズ(目標)」の略です。2015年にミレニアム開発目標(主に開発途上国が対象)から引き継がれ、先進国も含め世界全体で取り組むべき目標として国連にて採択されたものです。
産業革命以降経済発展に力を注いできた人間たちが、1987年ノルウェーのグロ・ハーレム・ブルントラント首相が発表した「我ら共有の未来」で人間の生活を豊かにするためには地球が壊れちゃそもそもダメじゃないか!ということに気づいたことから考えられました。
この目標は ①人間のため ②地球のため ③繁栄のため だとされています。
そして、“誰ひとり取り残さない” No one will be left behindという理念を掲げています。
私個人的には、今の世界の問題をわかりやすくまとめているため、問題周知としてとても良いなと思っています。(SDGsへの批判もあるため、それは再度取り上げますね)
これら17の目標を分類すると、5Pと呼ばれる下記の5つに分けられます。(説明は日本ユニセフ教会から)
People(人間)
すべての人の人権が尊重され、尊厳をもち、平等に、潜在能力を発揮できるようにする。貧困と飢餓を終わらせ、ジェンダー平等を達成し、すべての人に教育、水と衛生、健康的な生活を保障する。
Prosperity(繁栄)
すべての人が豊かで充実した生活を送れるようにし、自然と調和する経済、社会、技術の進展を確保する。
Planet (地球)
責任ある消費と生産、天然資源の持続可能な管理、気候変動への緊急な対応などを通して、地球を破壊から守る。
Peace (平和)
平和、公正で、恐怖と暴力のない、インクルーシブな(すべての人が受け入れられ参加できる)世界をめざす。
Partnership (パートナーシップ)
政府、民間セクター、市民社会、国連機関を含む多様な関係者が参加する、グローバルなパートナーシップにより実現をめざす。
People(人間) 目標1 貧困をなくそう
ここでは、5つのPからそれぞれ一つずつピックアップして問題を見ていこうと思います!
まずは1つ目のPであるPeople(人間)から「貧困」についてです。
よく言われる貧困の定義として、貧困とは絶対的貧困と相対的貧困に分かれると言われています。
相対的貧困とは?
相対的貧困とは、その人が暮らす国や地域の中の大多数の人よりも貧しい状態のことを指します。
(正しくは、その人の世帯所得がその国の等価可処分所得(収入から税金などの非消費支出を抜いた所得)の中央値の半分(貧困線)に満たない状態のことを言います。難しいですね。笑 もみえりも大学の卒論で貧困について書いていた時、頭がこんがらがりました。笑)
この相対的貧困は開発途上国のみではなく、先進国でも問題になっています。
日本で相対的貧困、と言ってよく話題に上がるのは子どもの貧困です。
日本の子どもの7人に1人が直面していると言われる相対的貧困。
2020年に厚生労働省が発表した「子どもの貧困率」によると
相対的貧困率は15.4%
子どもの貧困率は13.5%
ひとり親家庭の相対的貧困率は48.1%
日本の子どもの貧困問題に取り組むため、もみえりも大学生時代ひとり親家庭向けの無料塾の講師をやっていました。
そこにくる子たちは小学生から中学生だったのですが、特に外見や持ち物からはいわゆる「貧困」は見えてきません。ただ、実際有料の一般的な塾に行かせられないため、私が講師をしていた塾に来ていました。
もしそのような場所が近くになければ、学ぶ機会は公立学校のみという家庭が多くなるでしょう。
その結果、教育格差が生まれ、学歴格差になり、所得格差になっていくという悪循環が生じてしまいがちです。
絶対的貧困とは?
絶対的貧困とは、生きるうえで必要最低限の衣食住などの生活水準が満たされていない状態を指します。
世界銀行の絶対的貧困ラインによると、1日1.9ドル(約200円)以下で暮らしている状態のことを絶対的貧困と定義しています。貧しい人々が暮らす国のなかでも特に深刻なのが「南アジアやサハラ以南アフリカ」であり、極度の貧困状態(1日1.25ドル以下)で生活している人の8割を占めています。
また、今回のコロナウイルスのパンデミックで絶対的貧困者は増加傾向にあると言います。
この絶対的貧困層は、先ほど言ったように着るもの、食べるもの、住むところが満たされていません。そのため、さまざまな問題を生み出します。ここで全てをご紹介することはできませんが、貧困が生み出す要因の一つである問題、ストリートチルドレン、児童労働、医療格差を見ていきましょう。
ストリートチルドレン
海外旅行に行ったことのある人は見かけたり声をかけられたりした人も多いかと思います。
ストリートチルドレンの子たちが路上に出てくる理由はさまざまですが、だいたい以下の4つに分けられると言います。
1 家がなく、家族からの支援もない子どもたち
2 定期的に家に帰るが、ほとんどの時間を路上で過ごす子どもたち
3 家族自体がホームレスで、家族とともに路上で生活している子どもたち
4 保護されているが、路上生活に舞い戻る可能性のある子どもたち
2021ボランティアプラットフォーム https://volunteer-platform.org/street/
路上での生活をしている子達は、健康面や教育面で悪影響を受けてしまうだけではなく、クスリや性的暴行・人身売買が身近にある環境で育ってしまうため、成人したとしても犯罪者や薬物中毒者になってしまう可能性が高くなります。
児童労働
「児童労働(Child Labour)」とは、「子どもが働くこと」すべてを指す言葉ではありません。国際条約の定義では、15歳未満(途上国は14歳未満)、つまり義務教育を受けるべき年齢の子どもが教育を受けずにおとなと同じように働くことと、18歳未満の危険で有害な労働を「児童労働」としています
NGO ACE http://acejapan.org/childlabour/entrance#q1
つまり、本来学校にいき勉強をすべき年齢の子どもが、勉強を受ける機会を奪われたり、子供にとって有害な労働をさせられている状態を児童労働と言います。
現在世界の子どもの9人に1人が児童労働をしていると言われています。
先述したストレートチルドレンで物乞いや物売りをしている子どもも一種の児童労働にあたります。他には農村や工場、ゴミ山から売れるものを集めるなど、さまざまな児童労働の実態があり、その中でも子ども兵士や児童売春などは最悪のケースです。
医療格差
世界銀行とWHOが2017年に発表した報告書によると、世界人口の約半数が基礎的な保険医療サービスが受けられていない現状があるといいます。
そしてやはりここでもサブサハラ・アフリカと南アジアで大きな格差が見られます。
医療格差にはさまざまな要因がありますが、その大きな要因の一つとして貧困が挙げられるでしょう。
OECD(経済協力開発機構。主に先進国が加盟する国際機関)は、カンボジア、ネパール、フィリピン、ソロモン諸島では、低所得世帯の女性の4人に3人以上が経済的理由で医療を受けることが難しい状態にあるとしています。
医療格差は、わずかなお金で買える少しの薬があれば、少しの治療ができれば、救えた命を亡くします。
Prosperity(繁栄) 目標7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
続いて、5つのP2つ目Prosperity(繁栄)から「エネルギー」についてです。
エネルギーをみんなに
世界では、およそ30億人が電気を利用できていません。つまり、5人に1人が電気を使わずに生活しているのです。
電気を使えないと、薪や動物の糞といった燃料を使って日々の生活を営むことになります。その結果屋内での排気ガスによって死者が増えたり、森林伐採による環境破壊が進行したり、日が沈んでからの読書や勉強ができない、電気を使う医療行為ができないなどの問題が出てきます。
そこで今注目されているのが「再生可能エネルギー」です。
再生可能エネルギーは太陽光発電や風力発電、地熱といった温室効果ガス(CO2)を排出しないエネルギーのことで、大規模な設備投資や燃料の輸入が必要ないことから開発途上国の開発に有効だとされています。
【事例】ボツワナの農村部では、住民の約80%の人々が電気を使えず、薪を燃やして明かりや調理に使用しています。そして生活をするのに必要な薪を集めることが、森林の伐採につながり、大きな問題となっていました。 UNDPはボツワナ政府、地方のコミュニティと協力し、ボツワナのCO2の排出量を削減し、石油に代わるエネルギーとして、「太陽光発電機」の普及活動を展開しています。このプログラムでは、主に貧しい人々と母子家庭に優先的に手ごろな価格で装置を提供しています。こうした電気の通っていない地域では、家庭用の太陽光発電機の導入により、夜間でも子どもたちが読書をしたり宿題をしたりできるようになり、家族の生活を変えています。
ジャイカ なんとかしなきゃ!プロジェクトより https://www.jica.go.jp/nantokashinakya/sekatopix/article0147/index.html
エネルギーをクリーンに
ここ数十年で、日本でも「省エネ」「クリーンエネルギー」などという言葉が日常生活の中で使われるようになりましたね。先ほども書きましたが、日本での正式名称は再生可能エネルギーです。
では、そもそも再生可能エネルギーとはなんでしょうか?
エネルギーは一次エネルギーと二次エネルギーにわけられます。
一次エネルギーとは加工されていないエネルギーのことで、化石燃料、原子力、再生可能エネルギーなどがそれにあたります。二次エネルギーとは一次エネルギーを加工し使いやすくしたもので、私たちが普段使っている電気やガス、ガソリンなどがそれにあたります。
この再生可能エネルギーを積極的に使っていくことによってCO2の排出を減らし、かつ国内で生産できるので安定的に適正価格で供給していくことが可能なので、どんどん使っていきましょうということです。
ちなみに今の世界の再生可能エネルギーの生産状況はこんな感じです。
上が電気の生産に使う一次エネルギーのグラフで、下が全てのエネルギー生産に使う一次エネルギーのトータルのグラフですね。主に電力生産以外には、輸送エネルギーと加熱エネルギーに使われているようです。(原文だと加熱はheatingになっているのですが、何を指しているのか…?わかる人がいたら教えてください!)
これは2019年のデータを基にしているようなのですが、電力エネルギーだと26,3%、トータルのエネルギーだと再生可能エネルギーは11,3%で、化石燃料に頼っている状況なのがわかります。
下のグラフは電力生産のうち再生可能エネルギーがどのくらいの割合かという国別の地図です。
ちなみに日本は2019年で電力の20.7%が再生可能エネルギーから生産されているそうです!
10年前が10%ちょっとだったことを考えると震災で原子力が使えなくなった影響もあって増えている感じはありますが、他国を見てみるともう少し頑張れそうですね。
特に菅首相が他国に続いて2050年CO2排出実質ゼロという目標を宣言したばかりですしね。
私たち個人も自分の使用するエネルギーが何から生産されているのか考えてひとつずつ行動を変えていきたいですね。
Planet(地球) 目標14 海の豊かさを守ろう
3つ目のPであるPlanet(地球)では、目標14である海の豊かさを守ろうを取り上げたいと思います。
私は千葉県出身ですので、年に数回は海に足を運んでいました(^ ^)大学の共同研究でも千葉県の南房総の千倉という場所であまさんについて調べていたため、海の幸、そして漁業に携わる方のありがたさは痛感しました。
SDGsでは海の豊かさを守るための具体的達成目標の一つとして、「2025年までに、海洋ごみや富栄養化など、特に陸上の人間の活動によるものをふくめ、あらゆる海の汚染をふせぎ、大きく減らす」ことを掲げています。(富栄養化:水の中に、プランクトンなどの生物にとって栄養となる成分(リンやちっ素など)が増えすぎてしまうこと。赤潮の原因になるなど、生態系に影響を与えるといわれている。)
では、どのような海洋ゴミがあるのか、富栄養化はどのような行為で起こってしまうのか、見ていきましょう!
海洋ゴミ
海洋ゴミは、実にその65.8%をプラスチックが占めます。
日本財団と日本コカ・コーラ株式会社が2019年4月から12月にかけて行った調査によると、海洋ゴミは「投棄・ポイ捨て系」「漏洩系」に分かれることがわかりました。
投棄・ポイ捨て系では、家庭・車・屋外からのポイ捨てに大きく分けることができます。家庭からのポイ捨ての中には生活困窮者が地域の有料ゴミ袋を変えないという貧困問題と絡んでいます。
漏洩系(管理体制の不備等で排出者・利用者が意図していない段階で漏れてしまうもの)では集積所から漏れてしまっているものや自動販売機のゴミ箱から漏れ出てしまっているもの、被災地の堤防の復旧用ビニールシートなどがありました。
また、プラスチックが製造・消費・処分されるまでのサイクルと、どこでどれくらい海洋ゴミになってしまっているかを考えると、上の図のようになるようです。
海洋ゴミの影響
海洋ゴミは、海の生き物に多大な影響を与えています。
例えばエサと間違えて誤飲してしまい、胃などの内臓にゴミが溜まり死んでしまう例。有名なのはレジ袋をクラゲと間違えてウミガメが食べてしまう事ですが、他にも魚が小さなマイクロプラスチックをエサと間違えてしまうなど、生き物がどのように勘違いするかは予想できないものがあります。海鳥であるアホウドリなども被害に遭っています。
さらには、プラスチックゴミからエサのような匂いまでするという研究結果もあります。(ナショナルジオグラフィックより https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/111100431/)
他には、漁網やロープや釣り糸が絡まって外れず、そのまま死んでしまう例。このような例はゴーストフィッシングと呼ばれ、天災などによって流されてしまったりした漁具が回収されるまでずっと被害を出し続けるとして国際的な問題になっています。
また、海の植物の光合成を阻害したり、海底をヘドロ化させたりという問題もあります。
(参照:JEAN http://www.jean.jp/m-litter/matter02.html)
富栄養化
そもそも富栄養化ってなんのことだかよくわからないですよね。笑
富栄養化(ふえいようか)とは、海・湖沼・河川などの水域が、貧栄養状態から富栄養状態へと移行する現象のことです。 本来は、池や湖がある環境条件下での生物群集の非周期的な変化、いわゆる遷移によって、 水中の肥料分(リンや窒素など)の栄養塩類濃度が低くプランクトンや魚類が比較的少く生物生産活動が活発ではない貧栄養水域から、 栄養塩類濃度が高く生物生産活動が極めて活発な富栄養水域へ、その湖沼型を変化させてゆく非人為的な過程を指す言葉でしたが、 しかし、近年では、人間活動の影響による水中肥料分の濃度上昇を意味する場合に多く使われるようになってきております。 この富栄養化の要因としては、下水・農牧業・工業排水など多岐にわたると考えられています。人為的な富栄養化は生態系における生物の構成を変化させ、一般的には生物の多様性を減少させる方向に作用します。 極端な場合には、赤潮や青潮などの現象を二次的に引き起こすため、富栄養化は公害や環境問題として広く認識されるようになってきています。
環日本海環境協力センター https://momieri.net/marinenviromental
つまり、もともと栄養があまりなかった海や川に人間の影響でたくさんの栄養が流れ込み、結果的にプランクトンの大量発生による赤潮や青潮の原因になってしまうことです。
これらは窒素・リンを排水から除去することにより防げるとしています。
後にも触れますが、特に海洋ゴミは私たち個人個人がポイ捨てをしない・きちんとリサイクルができる処理の仕方をする・そもそもプラスチック製品を選ばないなど、行動を見直していくことが必要ですね。
Peace(平和) 目標16 平和と公正を全ての人に
さて、5つのPからPeace(平和)です。
Peaceに該当する目標は目標16「平和と公正を全ての人に」です。
平和と公正とはまた大きな意味の単語が出てきましたね。笑
SDGsには各目標に対してターゲットと呼ばれる具体的な達成目標が決められています。まずはその達成目標を確認し、ここで求められている平和とは?公正とは?を考えてみましょう。
ターゲットは、下記の10個です。
- あらゆる場所で、あらゆる形の暴力と、暴力による死を大きく減らす。
- 子どもに対する虐待、搾取、人身売買、あらゆる形の暴力や拷問をなくす。
- 各国でも、国際的にも、法律にしたがってものごとが取りあつかわれるようにし、すべての人が、平等に、争いを解決するための裁判所などの司法を利用できるようにする。
- 2030年までに、法律に反する資金や武器の取り引きを大きく減らし、うばわれた財産が返されたり、もとにもどされたりするようにする。あらゆる形の組織的な犯罪をなくす。
- あらゆる形の汚職や贈賄を大きく減らす。
- 効果的なはたらきができ、そのはたらきについて十分な説明ができ、だれにでもそのはたらきの内容や過程がわかるような公的な機関を、あらゆるレベルで発展させる。
- あらゆるレベルでものごとが決められるときには、実際に必要とされていることにこたえ、取り残される人がないように、また、人びとが参加しながら、さまざまな人の立場を代表する形でなされるようにする。
- 国境を超える問題を解決するための国際的な機関への、開発途上国の参加を広げ、強める。
- 2030年までに、出生登録をふくめ、すべての人が、法的な身分証明を持てるようにする。
- 国内の法律や国際的な取り決めにしたがって、だれでも情報を手に入れられるようにし、基本的な自由がおかされず、守られるようにする。
ここから私が思う平和・公正は「紛争を含めさまざまな形の暴力や不正な取引をなくし、国や国際的なルールを民主的に決め、決められたルールには従う(法の支配)。さらに、開発途上国の立場を向上させ、誰でも基本的人権が守られる。」と要約できるのではないかと思います。
平和・公正が守られていない事例
では、実際どのような場面で平和や公正が守られていないのか、みていきましょう。
紛争・内戦
いうまでもなく紛争は暴力が横行する場面です。
紛争の中でも国内の争いは内戦と言います。
これらの争いは、民族・宗教・資源・政治・領土といった原因が絡み合いながら起こります。
1900年代は世界戦争が勃発し、多くの人がさまざまな暴力によって亡くなりました。
しかし、今現在も紛争・内戦は絶えず起きています。2020年11月時点で解決していない争いとして、アフガニスタン紛争・シリア内戦・クルド対トルコ紛争・リビア内戦・イエメン内戦などがあります。
法の支配が守られていない国
法の支配とは、国民やその統治者も含め法に従い行動するということです。これは、現在の民主主義国家が法律に従って物事を進めていく上での大前提になっています。
それ(法の支配)が各国どのくらい守られているか、というランキングがworld justice projectから発表されていて、以下が2020年のランキングです。
一番守られていないとされるのはベネズエラで、続いてカンボジア、コンゴです。
法の支配が守られていないってどんな状況なんでしょう?
法の支配ワースト2位のカンボジアでは、フンセンが45年以上首相を勤めており、現在主要野党が解散させられ、実質与党のみでのやりたい放題の状態です。
これまで野党政治家やマスコミなどのメディア関係者など、政府与党に都合の悪い人物を逮捕・暴力・殺害してきました。
このように、法の支配が浸透していない国では、本来守るべき規範にのっとらず統治者が国民をコントロールしていってしまい、国民の基本的人権が守られない事態を引き起こします。
参照:ヒューマンライツウォッチ https://www.hrw.org/ja/news/2020/10/23/376799
無戸籍問題
無戸籍問題とは、その名の通り出生後戸籍登録されずに生活し、国の記録上は存在しないとされてしまう人々の問題のことです。
戸籍登録がされないのはただの親の怠慢、ということではなく、複雑な社会背景が絡んでいる場合があります。
特に中国の一人っ子政策は、無戸籍者を大量に生み出しました。その数は1300万人とも言われています。
簡単に一人っ子政策に関して説明すると、1979年から2015年まで続いた政策で、1組の夫婦は原則子どもを1人までしか産めないというものである。2人目からは罰金などが課せられたという。
この政策の裏では、強制的な避妊手術・中絶(中絶した遺児は病院のトイレに捨てられてしまうこともあったそう…)、生まれることができたとしても戸籍のない状態で公的なサービスや教育を受けられずに成長するしかなかった人々がいます。
今回紹介したのは平和と公正が守られていない一例に過ぎません。平和と公正に対するさまざまな具体的達成目標を実現するために、一歩一歩進んでいかなければいけません。
Partnership (パートナーシップ) 目標17パートナーシップで目標を達成しよう
最後のPであるPartnership(パートナーシップ)から「パートナーシップで目標を達成しよう」です!
今の時代、資本主義が台頭し、国の力に匹敵する企業の力があります。さらには、学問の世界、そして私たち一人一人が協力していくことで目標1〜16の達成に近づき、私たち人間が住みやすく、地球全体のことを考えた発展ができるのです。
パートナーシップの例
日本
日本の外務省の発表では、目標17のパートナーシップにあたる取り組みとして企業のSDGsの取り組みやESG投資(儲かるから!だけではなく、環境や社会への配慮、企業のあり方などを含めて評価した投資のこと)の後押し、官民の連携した地方創生などが挙げられています^ ^
そして、ジャパンSDGsアワードという賞で企業・団体のSDGsへの取り組みを賞賛しています!
そのジャパンSDGsアワードで2020年に本部長(内閣総理大臣)賞を獲得したのが「みんな電力株式会社」さんです。
※ブロックチェーンとは、生産や加工などそれぞれで関わっている団体の情報を全体で共有すること
※トレーサビリティーとは生産、加工、消費までの過程の「見える化」
私も現在横浜市に住んでいるので、この「横横プロジェクト」は興味深いです!また取り上げます^ ^
スウェーデン
国連の各国のSDGsの達成度合いを評価した「Sustainable Development Report 2020」で1位に輝いたのはスウェーデンです。
スウェーデンは行政、民間企業ともにSDGsに対する意識が非常に高いです。
そんなスウェーデンのアパレルブランドで馴染み深いのがH&Mです。
実は、アパレル業界はその生産、加工、消費の過程でCO2の排出や水の多量使用、服を洗うたびにでるマイクロプラスチック、ゴミ問題など多くの環境問題を抱えています。
そこでH&Mはビジネスコンセプトに「サスティナブル」を掲げ、2030年までに全ての素材を持続可能なもの(土に還る素材もしくはリサイクル素材)に変えるという目標があります。
H&Mはすでに2019年の時点で、57%は持続可能な素材で製造されています。
現在はアパレル業界でもなるべくサスティナブルなものを、という流れがありますが、私たち個人でもいいものを長く着たり、ユーズド品を選んだり、自分が着なくなったものはリサイクルに出すなど工夫をしていきたいですね。
オーストラリア
先程のスウェーデンが1位になった「Sustainable Development Report 2020」は国別のランキングですが、その企業版が「Global SDG Award」です。
2018年そこで1位になったのがオーストラリアの「Outland Denim」です。
このOutland Denimは「自由のためのデニム」という理念を掲げ、性的人身売買を経験した女性の職業訓練と雇用を生み出すために創設されました。その結果現在80人以上の女性が自由を手に入れています。
また、水やエネルギー、化学物質の使用を抑え、持続可能性を高め、また糸や梱包材などの細かな部分にまで環境に配慮しています。
まとめ
・社会問題が問題であるかどうかは「それは問題である」という人の立場によって変わります。常に自分がどの立場で発言しているか考え、問題の当事者などさまざまな立場の人を思いやりましょう。
・現在社会問題はSDGsという17の目標によってわかりやすくまとめられています。
・17の目標は
1貧困をなくそう、2飢餓をゼロに、3全ての人に健康と福祉を、4質の高い教育をみんなに、5ジェンダー平等を実現しよう、6安全な水とトイレを世界中に、7エネルギーをみんなにそしてクリーンに、8働き甲斐も経済成長も、9産業や技術革新の基盤をつくろう、10人や国の不平等をなくそう、11住み続けられるまちづくりを、12つくる責任つかう責任、13気候変動に具体的な対策を、14海の豊かさを守ろう、15陸の豊かさも守ろう、16平和と公正を全ての人に、17パートナーシップで目標を達成しよう
・17の目標は5つのP(People Prosperity Planet Peace Partnership)に分けられます。
今回は5つのPから一つずつ目標をピックアップして説明しました。「へえ、こんな問題があるんだ」とまずは関心を持ってくれたら嬉しいです。
私たちの行動が変われば、世界が、地球が変わります。
地球に生きているのは私たちなのですから。
コメント
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